政策・制度要請
2010年度県政要求
要求内容及び回答要旨は次の通り。

2010年度県政要請 知事交渉及び部局折衝を開催


行政と民間が協働で取り組む「パーソナル・サポート・サービス」を確認!


挨拶する近藤理事長

 2010年度県政要求を11月2日知事交渉と部局折衝に分け実施しました。県庁3階第三応接室において行われた知事交渉(懇談会)では、まず近藤理事長が「労福協が結成されて50年、1960年当時の暮らしは大変だったと思うが、今日よりも明日、明日よりも明後日と未来に対する希望があった。しかし今は先が見えない時代の中、知事も選挙戦では「共に支える」「確かな暮らし」をキャッチフレーズに戦ったが、こういう時代だからこそ共に手を携えて確かな暮らしを作り出したい。県民の暮らしが少しでも良くなるように意見交換をお願いしたい」と挨拶を行った。


要請書を手渡す近藤理事長
 これに対し阿部知事は「知事に就任して2ヶ月、9月の定例議会が終わり、来年度の予算をどういう形にしていくか考えているが、確かな暮らしを守るということで選挙中訴えてきたので、やはり暮らしに対してしっかりと目を向けた予算にしていきたい。暮らしを支えていく経済、雇用問題についても切れ目ない対応に努めていきたいと思っている。本日は忌憚のない率直な意見交換をさせてほしい」と挨拶を行った。



要請について意見を述べる阿部知事

 この後青木専務理事より要請項目の概要説明が行われ、要請項目の第一項「個別的・継続的・横断的なセーフティーネットの構築」について、知事の公約にも“パーソナル・サポーター”の設置とあるので、大いに期待しており、政府が進めているモデルプロジェクトに積極的に応募するよう要請し、現在労福協が進める「生活ネットワーク事業」の暮らしなんでも相談の状況を説明し、既に県民のあらゆる相談を受け付け、弁護士・司法書士・社会労務士などとのネットワークが構築されていること、日頃NPO団体と連携し事業を行っていること、また無料職業紹介所を開設し、就職支援事業にも積極的に取り組んでいる実績紹介、またPS事業に対し「一つの団体、一つの地域で行うものではなく、支援を行う様々な団体の連携による体制作りが必要と訴え、労福協としての構想を図解で示しました。
 この要請に対し阿部知事は「PSは長野県でも是非実施したいと思っている。湯浅誠氏などと政府が掲げる“新しい公共”についてどういうことが考えられるか検討してきた経緯がある。官と民がもっと対等に協力し合わなければ本当の意味での充実したサービスは出来ない。長野県でも行政と労福協、あるいは地域のNPOとか、いろいろな活動をしている人たちと一緒になって困難に直面している人を支えていくという仕組みを作りたいと思っている。大きな方向性としては同じ方向を向いて取り組んでいただけたらありがたい」と応えた。
 これに対し近藤理事長は「長野県としてはこれまでの経過や経験、風土など様々なものを活かし、やるからには成果が出る仕組みをしっかり作り上げることが大事。人材をどう創っていくか、これには相当のエネルギーが必要。県としては離れて観ているのではなく、お互いにいいものを作り出すという積極的な対応をお願いしたい」と要望。知事も成功のためには地域の中心になる人達、パーソナルサポーターになる人材が重要である認識を示した。
 青木専務理事からは「単なる個人の支援というよりも地域の福祉に対する働きかけも必要ですし、地域で支える社会的な構図も作り上げていく大事な事業。ぜひ応募してほしい」と再度要望した。

 同日14:00より県議会棟第一特別会議室に会場を移し部局折衝を行い、要請項目第二項以降は担当部局よりそれぞれ回答が行われた。第三項「中小企業勤労者等の福祉向上に向けて指導力を発揮していただきたい」という要請に対する県側の回答に対し、政策委員及び理事よりさらに強く県の積極的な取り組みが要請された。要請第二項「多重債務問題に関する効果的な施策を講じていただきたい」に対しては、北原理事より先生より指導をいただくのもいいが、現場の人間が事例を示しながら説明することでより効果的な授業になるのではないかと、労金からの出前授業の提案も行った。第四項の「医療の安心・安全対策、介護についての施策を講じていただきたい」という項目については、具体的な5つの要請に対し担当部局の医療推進課、医師確保対策室、介護支援室、健康福祉政策課、健康長寿課からそれぞれ回答が行われ、医師不足・看護師不足については長野県での不足とされる人数など具体的な数字や特別養護老人ホームの増設要請については、県としての計画案、無保険者の健康診断の受診数など県側に回答を求めたり、鈴木委員などより多くの質問が出された。部局折衝は約1時間半に亘り積極的な質疑が行われた。


平成22年長野県労働者福祉協議会県政要請-回答の要旨


1.「個別的」・「継続的」・「横断的」に提供される「セーフティー・ネットワーク」の構築に積極的に取り組んでいただきたい。【労働雇用課】

県労福協では2006年度より「生活あんしんネットワーク事業」に取り組み、「くらし・なんでも相談」を実施してきました。現在は県内7ヵ所に相談員を配置し、毎日の相談対応に当たる他、4か所では無料職業紹介事業を行い、就職支援にも力を入れています。
昨年度は電話・面接相談3500件、就職相談1200件に対応し、60件の職業紹介を行いました。寄せられる相談内容は多岐にわたっていますが、雇用の悪化による失業、経済的困窮など、問題の解決は簡単ではなく、長期にわたり問題を抱え、メンタル面での支えを必要とする方も多く見受けられ、寄り添い、伴走型の支援が必要であると感じています。
このような中、政府は今年セーフティーネットワーク実現チームを設置し、新たなセーフティーネットワークの構築に向け取り組みを始めました。また、今年度中に「パーソナル・サポートサービス」事業を全国20か所のモデル地区で実施すると伺っております。
つきましては、長野県におかれましては、「パーソナル・サポート・モデルプロジェクト(第2次分)」に積極的にご応募いただき、長野県におけるセーフティーネット構築にご尽力いただきますよう、要望いたします。また、県労福協としても、労働団体や福祉事業団体との連携、これまでの相談実績や、就職支援事業の実績、弁護士・司法書士・社会保険労務士等専門家とのネットワーク、NPO団体との連携など徐々に地域でのネットワークを構築しており、この事業の趣旨には大いに期待するところがあり、自らも積極的に取り組み、協力を惜しみませんので、県としての積極的取り組みを要請いたします。

  • 長野県でパーソナル・サポート事業を行うことを目指して、今般、国が緊急雇用創出基金を活用し実施する「パーソナル・サポート・サービス モデルプロジェクト事業」(第2次分)への応募について準備しているところです。

2.経年要請している項目の継続性や重要性を考慮しつつ、多重債務問題に関する効果的な施策を講じていただきたい。【教学指導課】
2009年において、全国では約32,000人余りが自ら命を絶つという悲劇が起きています。原因・動機が明らかなもののうち、経済・生活問題に起因するものが、健康問題に続き2番目に多く、経済・生活問題のなかには多重債務問題と関係があるものが相当数含まれているものと推測され、こうした悲劇はどこかで食い止めねばなりません。
 今年6月、改正貸金業法が施行されましたが、長野ろうきんでは、法施行以前から多重債務問題に関しては「多重債務に陥る前の未然防止が重要」との認識にたち取り組んでいます。
また、未然防止の重要性については、長年、多重債務問題に取り組む、日本弁護士連合会会長 宇都宮 健児氏も「最低限の知識を学校で教えて欲しい」と様々な場面で論じられています。加えて、「多重債務者対策本部有識者会議」の意見取り纏め(2007年4月)においても、「新たな多重債務者の発生予防のため、金融経済教育の強化を図ることが喫緊の課題」と指摘しています。
上記を踏まえ、多重債務問題にかかるセーフティーネット構築の一環として、長野県内の高等学校において、年間2時限以上「多重債務問題を含めた金融経済に関するカリキュラム」を組み込み実施していますが、県労福協では、金融経済に精通する専門家を各高等学校に派遣の協力をしますので、年間のカリキュラムに加えて「金融に関する特別授業」を実施し、次世代の社会を担う県内全ての高校生に対して、消費者教育を実施することを要請します。

  • 県教育委員会も現場の高等学校も多重債務問題を含む消費者教育の必要性については、充分認識しています。
  • 高等学校学習指導要領では、公民科及び家庭科の科目で年間2時限以上の消費者教育がカリキュラム上位置づけられ、多重債務問題を含む消費者教育が実施されていますが、多重債務問題の未然防止のために、更に、積極的に消費者教育に取り組むよう呼びかけてまいりたい。


3.中小企業勤労者等の福祉の向上に向けて指導力を発揮していただきたい。
【労働雇用課】

県内の中小企業勤労者数は、約87万人(平成22年4月1日現在)」となっていますが、県内の勤労者互助会(共済会)の会員数は「70,532人」で県下の対象人口の8%程度で推移しています。一方、各勤労者互助会(共済会)の活動実態は様々であり、特に会員数が1,000名未満の組織からは「より魅力的な事業を行うためには勤労者互助会(共済会)の再編(広域化と改革)をすすめる必要がある」との声が長野県市町村勤労者互助会・共済会連絡協議会の総会時に寄せられています。よって、県が積極的な役割を果たし、多くの勤労者が会員となるよう支援・指導を強化していただくことを要請します。

  • 県市町村勤労者互助会・共済会連絡協議会(会長:県労働雇用課長)において、各勤労者互助会・共済会の加入促進の取り組みなどの情報交換、自立化・広域化に向けた研修会や情報交換を行ってきております。
  • 県としましても、互助会・共済会への支援として、加入促進チラシを作成し、未加入企業を中心に加入について呼びかけ行うとともに、労政事務所の企業訪問時に互助会・共済会について周知を図っております。
  • 県としては、引き続き、企業に対しチラシ等による加入呼びかけを行うとともに、県連絡協議会を通じて、互助会・共済会へ公益(一般)法人移行、共済事業の移行等の諸課題に関し情報提供を行ってまいりたい。


4.医療の安心・安全対策、介護についての施策を講じていただきたい。
【医療推進課】【医師確保対策室】【介護支援室】【健康長寿課】【健康福祉政策課】

①県内のどこに住んでいても、安心して医療を受けられる環境の整備を要請します。特に命にかかわる3次救急の整備をいただくよう要請します。

  • 県としても、県内のどこに住んでいても、安心して医療を受けることのできる環境づくりを目指し、様々な施策を行っており、引き続きその実現に向け努めてまいりたい。
  • 第三次救急に関しては、救命救急センターの運営及び必要な施設・設備の整備に対して支援を実施するとともに、救命救急センターの機能評価を実施し、適切な救命救急医療の確保に努めております。
    また、県として2機目となるドクターヘリの中南信地区への配備に向け、「長野県ドクターヘリ配備検討委員会」を平成22年10月13日に設置し、検討を開始したところです。【医療推進課】

②医師不足・看護師不足対策の引き続く強化と過酷な労働実態の改善を要請します。
また、医師会・病院協議会の労働実態調査結果、及び上田・大町でのシンポジウムにおける課題についても県としての見解をお示しいただくよう要請します。
  • 県では、医師確保を県政の最重要課題のひとつとして位置づけ、ドクターバンクや研究資金貸与、医学生修学資金貸与などにより医師確保に全力で取り組んでいるが、新たな医師の確保が必要であるのはもちろんのこと、現在働いている医師に、いかに辞めないで頑張っていただくかということも重要と認識しています。
  • 医師会・病院協議会の労働実態調査では、1週間の勤務時間が56時間以上の医師が43.1%(構成比率)、当直明けの翌日に通常勤務をしている医師が64.4%(構成比率)など厳しい勤務実態が示されております。また、昨年度の上田市、大町市に続き今年度も木曽町でシンポジウムを開催しましたが、これらのシンポジウムを通じて、医療機関、行政が地域医療の厳しい現状を住民に適切に伝え、共通認識のもとに、一体となって医療機関を支えていくことが大切であると認識しております。
  • 引き続き、病院勤務医の負担を軽減するため、ベビーシッターの活用、短時間正規雇用など病院の取組みへの支援を行うとともに、シンポジウムの開催などを通じて医療機関の厳しい現状を住民に周知し、地域医療の課題をともに考え、地域全体で医療機関を支える機運の醸成を図るなど、医師の勤務環境の改善、離職の防止を図ってまいりたい。【医師確保対策室】
  • 看護職員の離職の要因として過酷な労働実態があること、看護職が働き続けるため の改善策として職場環境を整備することが重要なことは認識しております。  引き続き看護職員等の離職防止と過酷な看護業務の改善に向け努めてまいりたい。【医療推進課】

③必要な介護がだれでも、いつでも受けられる環境の整備を要請します。特に特別養護老人ホームの待機者が5千人以上いるという状況の解消に向けて空き校舎の福祉施設利用なども含め、必要な施設の増築をするよう要請します。
  • 高齢者の方々が安心できる居場所を地域に確保し、一人ひとりの状況に応じて選択できる環境を整備することは、セーフティーネットの強化のために重要であると認識しており、今後、市町村の実情や要望を踏まえ、特別養護老人ホームなどのサービス基盤の充実を積極的に支援してまいりたい。
  • 施設設置にあたっては、地域の既存資源を有効活用し、地域の創意工夫を活かした効果的かつ効率的整備を図る観点から、空き校舎の活用などについては保険者である市町村の意向を尊重してまいりたい。【介護支援室】

④求職中で医療保険のない住民に対する健康維持・疾病予防の方策を具体的に行うよう要請します。
また、生活困窮者が受診抑制することのないような施策を講じるよう要請します。
さらに、貧困の拡大は子どもの医療にまで影響を及ぼしているという現実から、福祉医療費給付制度の窓口無料化を実施するよう要請します。
  • 県では、県民の方々が生涯にわたり健康でいきいきと暮らしていくために、市町村が行う健康増進事業(基本健康診査、健康教育等)に対し、補助を行っています。この事業は、医療保険のない40歳以上の方々に対しても健康診査を行うとともに、健康相談等を行う事業ですので、市町村保健衛生窓口にお問い合わせいただき、利用をお勧めします。
    なお、市町村では、事業の実施時期等について広報等により啓発を行っています。
     また、保健所では、希望する県民の方々を対象に健康相談、栄養・食生活相談を実施していますので御利用いただけます。【健康長寿課】
  • 福祉医療制度において窓口無料化を実施した場合、市町村が本来負担する必要のない国民健康保険の国庫負担金の減額などが生じ、財政上妥当性を欠くことから、現行方式を取り入れているものでありますので、ご理解いただきたい。
  • そもそもこの福祉医療制度は、地方において広く実施されていることから、社会保障政策全体の中で、国の踏み込んだ対応が必要と認識しており、これまでも、助成制度の創設などについて要望してきたが、今後も、さまざまな機会を捉え、さらに強く要望してまいりたい。【健康福祉政策課】

⑤医療制度は現行の後期高齢者医療制度に代わる新たな制度の在り方について国の「高齢者医療制度改革会議」で議論・検討されていますが、国民健康保険の運営に関し、小規模市町村においての国民健康保険は、保険財政が不安定になりやすい実態があることから、今後の運営を期限を区切り、市町村から県に移行するよう要請します。
  • 高齢者医療制度や国保全体の運営をより広域的な自治体が担うという考え方は、財政運営の安定化につながり、合理的な理由があると考えます。
  • しかし、国民皆保険の基盤をなす国民健康保険は、国が最終的な財政責任をもっていただくよう、制度設計をお願いしたいと考えております。
     現在、国において新たな高齢者医療制度に関して議論され、このなかで「市町村国保の広域化につながる見直し」についても議論され、広域化(都道府県単位化)された場合の運営主体について今後議論されることになっています。(H22/11月予定)
    県としては、この改革会議の最終取りまとめや法案など国の動向を注視してまいりますが、国保運営の安定化が図れるよう十分な議論が必要と考えているところです。 【健康福祉政策課】

⑥介護保険は、2000年にスタートしましたが、制度開始から10年が経過する中で、 社会経済状況の変化に伴い生活困窮者が増えている状況にあり、現行の介護保険料は低所得の人ほど負担が重くなっていることから、応能負担としていただくよう国への働きかけを要請します。
  • 介護保険料については、持続的・安定的な制度運営がなされ、地域の実情に応じたサービス量に見合う適正な保険料水準となるよう保険者の取り組みを支援していくとともに、第5期介護保険事業計画の策定に向けて国に対しても必要な働きかけを行ってまいります。【介護支援室】