活動方針と計画

2025年度活動方針


はじめに

日本社会は感染症のパンデミック後「新しい社会」へ移行し、人付き合い・コミュニケーション方法の変化、働き方の面でもテレワークの定着や労働時間の短縮等で、労働者を取り巻く環境は大きく変わってきました。一方、世界情勢は、ロシアによるウクライナ侵攻、米中経済対立が数年単位で継続しており、中東における軍事衝突も加わり、依然として政情不安な状態が続いています。また、米トランプ大統領就任後の米国関税引き上げによるインフレ加速に伴う各国の増税・緊縮財政が予想され、経済成長の鈍化を助長する懸念があります。

労働者の働き方が変わった社会では、これまで以上に非連続で不確実性の高い環境の中、社会のセーフティネットを再び張り巡らせ、いずれ想定される新たな感染症のパンデミックや、経済不況や失業といったくらしに大きな影響を及ぼす課題などを意識し、苦しむ人が再び社会に溢れてしまうような過ちを繰り返さないようにしなければなりません。そのために公助のあり方を見直すとともに、共助の力を発揮することが求められています。


2025年度活動の方向性

先行き不透明で将来不安が尽きない状況にあるからこそ、人とひとのつながりを大切にし、「助け合い」・「共助」の輪を社会に根付かせるため、労働者自主福祉運動の果たすべき役割は一層大きくなってきています。そのため、労働組合とともに歴史を重ねてきた労働金庫やこくみん共済coop、など労働者福祉事業団体と労働組合が「ともに運動する主体」として関係を強化し、県内の働く人が幸せと豊かさが実感できる労働者自主福祉運動を力強く進めていきます。

県労福協としては、労福協の理念である「福祉はひとつ」を踏まえ、人とひとのつながりが大切にされ、平和で安心して働き暮らせる社会の実現に向け、「生活あんしんネットワーク7事業」を基本に、「労働者・市民の拠り所」としての機能を発揮するため、地区労福協と協同で、行政や関係団体との連携を深めながら、地域共生社会づくりの様々な取り組みを進めていきます。一方で、限られた運動資源の中で多岐にわたる活動範囲は、県・地区労福協の努力だけでは補えず、結果として貴重な資源を分散化させている課題も真正面から見据えなければなりません。さらに、運動の最前線を支える人材の確保・育成も困難となる中、日常的な組織・社会との連携も不十分となり、結果として同じ地域で働く仲間が労働者自主福祉運動に参画する機会を損なう状況にも繋がっています。

労福協運動を支える基盤強化には、何もよりもまず、こうした組織課題に真正面から向き合い、県・構成組織・地区との情報共有や意思疎通を図り強化していく必要があります。個々で対応することが困難な課題については、その実現のため“つなぐ・つなげる”協働の在り方を議論し、実行するための仕組み作りの再構築が求められます。“私たちは何のために集まり・何をすべきか”を基軸とした「共通した運動の土台」を認識し合い、限られた運動資源(人的・財政的資源)の有効かつ最適配分を検討する中で、労福協運動を全ての労働者へ拡げていきます。


活動の目的

1.労働者福祉を増進する事業を行い労働者の生活安定と経済的・社会的地位の向上に寄与する。

2.生活あんしんネットワーク事業の深化で、働くことや暮らしの安心を支え続ける。

3.労働組合と協同組合が連携・協同し、共助の輪を広げ、すべての働く者の拠り所となる。

4.地域の様々なネットワークで、支え合い、助け合う地域共生社会を実現する。


活動の柱

県労福協の活動は、労働者自主福祉運動としての暮らし総合支援事業(生活あんしんネットワーク事業)を中心に、社会的連帯を深める運動と政策の実現を目指し、労働者福祉や協同事業の更なる発展を目指して、以下の事業を柱に取組みます。



1 社会連帯を深める運動と政策の実現

県労福協は地域に福祉のセーフティネットを張り巡らすことで、住民一人一人から、地域、職場、NPOボランティアなど市民団体がネットワークで繋がりながら、支え合い・助け合う温もりのある社会を創っていきます。そのためにも労働運動だけではカバーできない生活領域において、労働者自主福祉運動と消費者・市民運動、NPOとを“つなぐ”“つながる”“つなげる”の役割を各地域で果たしていきます。

また、中央労福協並びに、東部ブロックとの連携を強め、「連帯・協同でつくる安心・共生の福祉社会」実現に向けて、2025全国福祉強化キャンペーンの取り組みを進めていきます。


2 暮らしの総合支援(ライフサポート)の推進

労働者をはじめ、その家族及び地域に暮らす、全ての人々の拠り所として労福協(ライフサポートセンター)が頼られ、地域に根付いていくために、〝生活あんしんネットワーク事業〟くらしなんでも相談、就労・自立支援、貧困・多重債務者支援、子育て・介護支援、老後の生き甲斐支援など、地域で役立つ目に見える具体的な活動を、地域を中心に運動を展開します。また、地域で暮らす人々の生活向上のために、啓発活動として地区労福協、労働団体及び福祉事業団体と連携を図りながら、各種セミナー・講演会を実施していきます。


生活あんしんネットワーク7事業


①くらしなんでも相談事業

「相談したいけど、人になかなか話せない、聞けない」というような日常生活での様々なお悩みをなんでも無料でご相談いただける「くらしなんでも相談ほっとダイヤル」を設けています。サラ金、多重債務、架空請求、年金問題、親権、相続問題など幅広い問題にお応えしています。


お金・保障・暮らしのお手伝い

労福協の福祉事業団体「ろうきん」「こくみん共済coop」「生協」は暮らしのすべてをサポートしています。協同組合事業では利益は組合員へ還元され、仲間の助け合いや地域のために使われます。


③すべての労働者をサポート

ろうきん・こくみん共済coop・生協・NPOなどと連携し、地域に福祉のネットワークを拡げ、労働組合員のみならず、中小企業・未組織労働者・離退職者などの生活・福祉を支援しています。職場に労働組合が無い労働者の方も、福祉事業団体のサポートを受けられる会員組織として「県暮らしサポートセンター」への加入促進をしています。


④就職へのサポート

求職者と企業のマッチングなど、求職者に対しての支援活動として、自治体の「まいさぽ」やハローワークと連携して、就業サポートを行っています。一方で企業に対しては、企業への求人開拓・人材情報の提供を行っています。


⑤生涯生活サポート事業

高齢化が一層進む日本で、退職者の方や高齢者の方がいきいきと生活するためのセミナーを中心にサポート事業を行っています。また、豊かな老後生活を送るために「ろうきん」「こくみん共済coop」「生協」の利用を促し、加入拡大を進めています。


⑥NPO・ボランティアとの連携

「長野県NPOセンターと連携しながら「生活あんしんネットワーク事業」運動に取り組んでいます。「フードバンク信州」などと連携・協力し、地域の活性化、あんしん街づくりに寄与しています。


⑦子育て・介護をサポート

仕事と育児・介護の両立や子育て・介護そのものについての悩みや課題について、セミナー等の開催や制度改定に対する要請行動を行っています。


3 協同事業、労働者自主福祉運動の基盤強化

県内における職域と地域の労働者自主福祉運動の充実・発展のために、労働団体および福祉事業団体との連携を強化し、労働者自主福祉運動に対する社会的な役割を果たします。


①組織労働者も未組織労働者も、安心して働ける職場環境の整備、ワークルール教育の浸透、若者の雇用を創出し、労働団体と一緒に元気な職場の創設を目指します。

②県労福協の構成団体(労働団体・事業団体)の発展や、構成組織実務者会議による県労福協活動の推進と地区労福協への展開を図っていきます。

③これまでの労福協の枠組みを超え、県社会福祉協議会や長野県みらい基金、信州協同労働ネットワークとの連携を強化し、活動領域を拡大していきます。

④未来を担う若者を社会全体で支え、持続可能な社会にするため、中央労福協の方針に沿って奨学金制度の改善と教育費負担の軽減に向けた活動を強化していきます。

⑤労働者自主福祉運動を持続可能な運動とするため、人材育成と財政基盤強化に向けた動を継続していきます。


具体的な取り組み


Ⅰ.社会的連帯を深める運動と政策の実現


1 「これからの社会」へ向けた対応

①長野県が抱える課題について必要に応じて県・経済団体等へ意見提言を行っていきます。あわせて、生活保護への偏見や誤解をなくし積極的な利用を促すための啓発活動に関係団体と連携して取り組みます。

②急激な物価高が国民生活に甚大な影響を及ぼしている現下の状況に鑑み、労働団体や関係団体とも連携しながら政策要請や地域での支え合い・助け合いにつながる活動を実施していきます。


2 貧困や多重債務のない持続可能な社会に向けて

(1)奨学金制度改善・教育費負担軽減の取り組み

2025年度も、中央労福協の活動と同期しながら取り組みの強化を図っていきます。奨学金返済ガイドブック「もう悩まないで。奨学金返済Q&A」を活用しながら、周知広報活動を行うとともに、授業料半減を目標とした教育費の負担軽減や、少⼦化対策の集中期間である3年以内に年収600万円までは多⼦世帯などに限定することなく⼤学等修学⽀援制度の⽀援対象とすることをめざし、要請行動や世論喚起に取り組みます。


(2)生活困窮者自立支援制度の拡充と社会的包摂の推進

①生活困窮者自立支援制度の定着・浸透を図るため、地区労福協が各自治体の「まいさぽ」やNPOとの連携を強化し、第2のセーフティネットとして実効あるものとなるよう取り組みを支援していきます。

②生活困窮者自立支援と貧困をなくす運動を、運動の両輪として捉え、県政要請の中で、労働行政に対して生活困窮者自立支援事業との連携を強化し、労働法違反行為等の摘発・是正指導やブラック企業対策を強化するよう働きかけていきます。

③生活保護は国民の権利であることを鑑み、必要な時に適切に生活保護を利用できるよう、水際作戦の根絶、扶養照会の運用や制度の改善、自動車保有の要件の緩和など、より利用しやすい制度への改善を求めていきます。

④貧困の連鎖を断ち切るため、⼦どもの視点を⼤切にした抜本的な貧困対策の推進について求めていきます。また、関係団体と連携しながら、社会的な意識啓発を進めます。


(3)多重債務対策の強化

①インターネット上のショッピングやゲーム、ギャンブルなどへの依存症から多重債務に陥るケースや昨今の急激な物価高騰による生活費の圧迫が要因で、多重債務に陥るケースが増えています。ろうきんによる生活応援運動と連携し、引き続き関係団体と多重務問題解決に向けた取り組みを進めていきます。

②改正貸金業法の定める総量規制の対象外である銀行カードローンに起因する過剰融資については、各金融機関で貸付自粛に向けた自助努力が進んでいるものの、引き続き動向を注視し、ろうきんや関係団体などとも連携した啓発活動を行います。必要に応じて、貸金業者が保証するカードローンを規制対象とするなどの法改正も含め中央労福協と連携し対応を図ります。


(4)自死(自殺)対策

厚生労働省が公表した2023年度の自殺の状況から、自殺者は20,320人で2年ぶりに減少したものの、小中高生の自殺者は529名(2022年度514名)となり「危機的な状況」が続いています。「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現」に向け、自殺対策基本法の「自殺は個人の問題でなく社会問題である」基本理念に基づき、自治体における自死(自殺)対策の取り組み強化を県政要請に繋げていくとともに、啓発の取り組みを進めていきます。


(5)介護離職のない社会をめざして

①要介護者および認知症高齢者の増加に伴って介護サービスの需要も増えていますが、介護従事者の離職、人手不足は深刻な問題になっています。課題解決には、職場環境の改善が必要であり、様々な団体と連携して政策・制度要求を行っていきます。

②親の介護を理由に退職する労働者が増加しています。経験を積んだ熟練従業員や管理職など、企業の中核を担う人材が介護のために退職することは、企業にとって大きな損失であり、また本人にとっても人生が大きく変わる厳しい選択となっています。家族が介護と仕事を両立できる環境整備が喫緊の課題となっており、介護休業制度の取得促進、介護保険制度の活用、企業や地域における相談窓口の設置などの政策・制度要求を行っていきます。


3 消費者運動との連携の促進

(1)消費者被害の防止・救済の取り組み

①成年年齢引き下げへの対応としての若年層の消費者教育の必要性が求められています。不適切に販売されている保険や信託などの金融商品による不要な損失は、いわゆる「電話でお金詐欺」の被害額の何十倍にもなっています。また、成人年齢の引き下げにより、18歳、19歳が未成年者取消権を行使できなくなったことから、若者が過大な債務を負うことになってしまいます。県労福協としてろうきんや地区労福協と協働で学校・地域等における金融教育の充実や情報発信の強化に向けたセミナー等の実施に取り組みます。

②企業や行政の不正をなくすため、公益通報者を企業・行政側から徹底して守る公益通報者保護法の速やかかつ抜本的な改正を求めていきます。


(2)消費者教育、エシカル消費の促進

①消費者被害の防⽌・救済や、中央・地⽅消費者⾏政の⽀援の強化、消費⽣活相談員の処遇改善、消費者教育の促進に向けて、消費者団体をはじめとする関係団体と連携し、財源の確保や施策の強化・改善などについて政策・制度要求を⾏います。

②一部の消費者による過剰な要求、暴言・暴力等カスタマーハラスメントの問題について、公共の利益および消費者・労働者双方の権利を守る観点から、消費者と事業者の良好かつ健全なコミュニケーションを促進するよう、関係団体等と連携して普及・啓発を進めていきます。

③公正な取引を担保するため、サプライチェーン全体における労働環境への理解を促す消費者教育や、雇⽤・労働を含む⼈や社会・環境に配慮したエシカル消費を関連団体と連携して取り組みます。


4 SDGs(持続可能な開発目標)の取り組み

気候変動はすべての⽣物の⽣存基盤を揺るがしかねない「気候危機」と⾔われています。また、気候危機と相互に影響し合うと⾔われている⽣物多様性の損失も喫緊の課題です。私たちはSDGs の⽬標達成に貢献し、将来に渡って持続可能な地球環境を繋いでいくため、⻑期的な⽬線で取り組みを進めます。中央労福協および関係団体と連携し、加盟団体に対して、自らのライフスタイルを見直し、環境省が取り組む「脱炭素につながる新しい豊かなくらしを創る国民運動(デコ活)」を広げます。また、長野県が目指す「信州ゼロカーボン」、「信州プラスチックスマート運動」への取り組みに対しての啓発に取り組みます。


5 大規模災害からの復興・再生と防災・減災の取り組み

①関係団体と連携し、2024年1月の能登半島地震や東日本大震災・長野県北部地震及び台風19号による洪水被害を含め、全国各地で発生した大規模自然災害の教訓を活かした防災・減災の取り組みを進めていきます。

②いざという時の備えや⼤規模災害を乗り越える地域コミュニティの再⽣および、平時の福祉と災害時の危機管理の連結、災害に便乗した悪質商法への注意喚起など、災害リスクを最⼩限にとどめるために、関係団体と連携し啓発活動を進めていきます。

③南海トラフ地震や首都直下型地震の発生が予測されていることや、地球温暖化の影響等による台風の大型化や集中豪雨や突風等の自然災害による被害が全国各地で頻発している中、これまでの災害を踏まえながら、大規模災害リスクへの対処に関する自治体要請を進めます。

④災害後の生活再建に向け、自然災害・地震災害の無保障者をなくす取り組みと生活基盤となる財産形成の取り組みを、福祉事業団体のろうきん・こくみん共済coop・生協連とともに啓発活動を行なっていきます。


6 食品ロスの低減とフードバンク活動や子ども食堂の普及・促進

①地域において、フードバンク活動が広がっています。地域でのフードバンクの取り組みが推進できるよう、地区労福協をサポートしていくとともに、引き続き長野県フードバンク活動団体連絡会に参画しフードバンクの啓発活動や活動団体間の連携を深め、改善等に取り組みます。

②フードバンク信州の会員として、運営に参画するとともに、子供たちの8月の夏休みと12月の冬休みに向け、食糧支援強化期間を設定して、経済4団体や県社会福祉協議会、地区労福協などと協同してフードドライブの実施に努めます。

③子ども食堂に関する地域での取り組みや関心も広がっており、各関係団体の取り組み事例等を情報収集しながら、今後の活動について検討していきます。


7 日本難病・疾病団体協議会(JAP)国会請願署名

労福協東部ブロック全体の取組みとして、JAPが取り組んでいる、難病や長期慢性疾患対策の推進と充実を求める国会請願署名に県労福協として協力していくとともに、署名活動を通じて、難病に関する更なる理解促進に向けた周知広報を図っていきます。


8 食品の安全、食料・農業問題への対応

食の安全は生産から消費、更に廃棄まで食に関わるフードチェーン全体で担保していくためには、必要な法制度の整備はもちろん、事業者との連携や消費者の学習などを意識的に進めていく必要があります。生協連や消費者団体と連携し、食品の安全の確保や表示に関する政策・制度改善に取り組むとともに、食品の安全や食料・農業問題に関する学習、食育を通じた食生活の改善、地産地消の推進などに協力していきます。


Ⅱ.くらしの総合支援(ライフサポート)の推進


1 くらしの総合支援事業の体制づくりと着実な推進

労働者をはじめその家族、すべての市民の拠り所となるライフサポートセンターを目指し、“生活あんしんネットワーク事業7つの具体的な事業”を、地域での展開に向けて各地区労福協と連携して取り組んでいきます。


(1)くらしなんでも相談事業

“労福協くらしなんでも相談ほっとダイヤル”の平日相談や第二土曜日の専門家による相談ダイヤルに多くの県民の方が利用されるよう、各地域の地元紙への広告やSNS等を利用して、利用者拡大が図られるよう検討していきます。法律・税務相談事業を県下の顧問弁護士と顧問税理士による、面談での相談(初回1時間無料)を引続き実施します。また、地区労福協の主催で県労福協顧問弁護士団による法律セミナーの開催をサポートしていきます。


(2)NPO・ボランティア・協同組合と連携した「あんしん街づくり機能」

“県労福協としては、地域の実情や条件を踏まえて、地区労福協と連携して地域のNPO・ボランティア・協同組合と日頃から情報交換や交流を図り、様々な活動や運動に主体的に「参加」「行動」することで、ネットワークづくりに取り組んでいきます。


(3)お金・保障・くらしサポートの地域展開支援

地域における福祉事業団体と連携し、組織労働者だけでなく未組織労働者及び市民に対する福祉事業団体の有利性を積極的にPRしていきます。具体的には、労働者の生活防衛・生活改善を図るため、以下の内容について、地区労福協と連携しながら、「気づき」を与える取り組みを行っていきます。

①各地区のお金の相談などのセミナーの実施

②高校・大学生や市町村等への賢い消費者に向けたセミナーの実施

③自然災害への防災・減災を中心とした福祉事業団体活用セミナーの実施。

④安心・安全のリフォーム業者紹介業務の実施。


(4)未組織労働者との連携の強化

組織労働者が年々減少する中、県内の未組織労働者約80万人に対する支援、サポートに引き続き取り組みます。中小零細企業、非正規や多様な雇用形態で働く人たち、さらには外国人労働者など共助の輪に参加できていない人たちへの福祉事業の利用を広げるための受け皿や制度開発などについて、関係団体と連携し検討を進めます。

具体的には、会員数14万人を超える長野県暮らしサポートセンターとの連携強化に努め、“くらしなんでも相談”“法律・税務相談”“福祉事業団体の利用”など支援メニューの利用促進を進め、福祉事業団体並びに労働団体と連携し、各地区の勤労者互助会・共済会をはじめとした、未組織労働者・一般市民へのサポートに取り組んでいきます。

また、県下全市町村が属している長野県市町村勤労者互助会・共済会との連携を深めるため、会議等を通じて情報交換に努めるとともに、長野県市町村勤労者互助会・共済会組織と地区労福協との連携をサポートしていきます。


(5)失業・離職者支援

2023年度でジョブ無料職業紹介事業を終了しました。今後は“くらしなんでも相談”事業において就業相談受け付けを継続し、「まいさぽ」や職業安定所、自治体、NPOなどにつなげ求職者のキャリア支援などを図っていきます。


(6)退職者・高齢者の社会参加の推進

高齢者の単身世帯や生活困窮者が急増するなかで、特に雇用における男女の不平等がもたらす高齢単身女性の貧困が社会問題になっているなど、地域での寄り添いや見守りがこれまで以上に必要となっています。そのため、シニア世代の持つ多様で多彩な能力や技能を地域社会で発揮できるよう、環境整備に向けて県退職者連合などの関係団体と労福協・福祉事業団体との連携を進め、生涯生活サポート研修会の開催や、高齢者がいきいきと生活するための健康増進、娯楽活動、学習活動など各種サポートを行っていきます。


(7)子ども・子育て支援

①児童虐待防止は喫緊の課題であることから、行政やNPO団体などの関係団体と連携した啓発活動に取り組みます。

②仕事と育児が両立できるワークライフバランスの推進、待機児童解消の実現など子育て教育支援としての諸課題の解決に向けて、関係団体と連携し政策制度の改善に努めます。


Ⅲ.協同事業、労働者福祉運動の基盤強化


1 組織強化の取組み

(1)労福協活動

①「県労福協と地区労福協の在り方」で提起している内容に沿って活動を進めていきます。地区労福協がそれぞれの地域の拠り所となるよう、連携して取り組みます。

②運動と財政は⼀体的なものであり、社会的共感を広げる運動を持続可能なものとするため財政健全化に向け現状の活動や費用を見直しながら、財政基盤の確⽴に取り組みます。また、これからの労福協組織・財政の在り方について、構成団体および地区労福協との具体的な議論を深めていきます。


(2)構成組織実務者会議の継続

2012年の国際協同組合年を契機に、福祉事業団体による実務者会議を立ち上げ、県労福協が実施する各種活動の企画・運営の中核的役割を担っていただいています。今年度も構成組織実務者会議を月1回程度開催し、活動の活性化を図っていきます。また、構成組織実務者会議を通して確立した取り組みについては、各地区労福協に連携し活動に繋げるよう検討していきます。


(3)長野県社会福祉協議会との連携

就職、生活、家庭などで複数の課題を抱え、それらの要因が複雑に絡み合っている社会的弱者に対し、ワンストップで一元的にサービスを提供できる体制の構築が急務となっています。「信州ふっころプラン (長野県地域福祉活動計画)推進会議」を通じながら、長野県社会福祉協議会との連携を深めていきます。


(4)「信州みんなのくらし研究所」への参画

長野県内の経済、労働、くらし、学びを領域にする調査研究を主軸にしながら、多様なイノベーション活動を支援するシンクタンク組織である「信州みんなのくらし研究所」へ参画していきます。


2 協同組合の社会的役割の発揮に向けて

2023年11月3日の国連総会において、社会経済の発展や持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する協同組合の役割と価値を各国が共有し広く認知度を高める機会にするため、2025年を2012年に続き2回目の「国際協同組合年」とすることを宣言しました。

2025年国際協同組合年の取り組みを県労福協としても、中央労福協の方針や地方労福協の取組みを参考にしながら、信州協同労働ネットワークの会員として、関係団体との連携を深めていきます。また、互いに支え合い持続可能で活力ある「地域共生社会」の構築に向け、労働者協同組合法に関わる周知広報に努めていきます。


3 協同事業団体の利用促進の取り組み

(1)ろうきん・こくみん共済coop・生協連など協同組織(組合)の地域における様々な福祉活動や公益活動において、労働者福祉の向上や共助の輪の拡大に向けて、連携を強めていきます。

(2)労働組合と事業団体が「ともに運動する主体」としての関係をさらに強固なものとし、協同事業の今日的意義や社会的価値への理解を広げつつ、組合員の利用促進に繋がる取り組みを進めます。

(3)県・地区労福協は、自らの活動が事業団体の利用促進や支援につながっているかどうか自己点検を行い、信頼を確かなものにするよう努めます。こうした信頼関係のもと、県・地区労福協が安定し継続した活動ができるよう、加盟団体に引続き理解を求めていきます。

(4)賃上げ以上に消費者物価が高騰している中、労働者の生活を支える取り組みとして、県労福協と、労働団体、福祉事業団体が連携して、昨年に引き続き、可処分所得向上に向けた取り組みを強化していきます。


4 労働者自主福祉運動を担う人材の育成・教育活動

感染症パンデミックの発生、自然災害の多発等、社会環境が急速に変化する中において、労働者自主福祉運動を継承・持続するために人材の育成は必要不可欠です。労働運動、労働者自主福祉運動に求められるものが多様化する時代を担う若いリーダーの養成と女性の参加促進を目指し、中央労福協、労福協東部ブロック主催の研修会への参加要請や、県労福協主催の教育・研修を検討していきます。


(1)次世代リーダーの育成

①労金労組、全労済労組と共催で行っている若年層を対象としたユースリーダー塾(旧ヤングリーダー塾)の開催については、これまでの実施経過を尊重し、実施内容の課題整理を行い、改善を図りながら開催を検討していきます。

②労福協東部ブロック第16期福祉リーダー塾への参加を構成団体に要請していきます。また、労働団体に積極的参加を促していきます。

③労働者自主福祉運動の推進に向けては、労働団体・事業団体が「ともに運動する主体」として関係強化を図ることが重要です。そのためには、昨年度に引き続き、労組役員を対象にした「労働者福祉講座(Web)」を開設し、積極的な学習を促していきます。


(2)女性の参画促進

①労働者福祉運動の継承・発展のためには、女性の参画は不可欠です。中央労福協は2030年までに女性役員比率を3割とする目標を掲げて推進しています。県労福協としても、様々な場⾯での⼥性役職員の労福協運動への関与・参画について、構成団体や地区労福協と意⾒交換を⾏ない、拡大に向けた検討を進めていきます。

②中央労福協で実施する「シンポジウム女性ひろば」に女性役員を参加頂くよう、加盟団体に要請していきます。


5 組織活動・運営、研修・広報・教宣

(1)各種会議の開催

①理事会は年に6回以上開催します。

②三役会は1ヶ月に1回程度開催します。

③構成団体合同研修会を年1回開催します。県労福協構成団体のトップセミナーと位置付け、構成団体相互の情報交換と意思疎通を図るほか、それぞれの課題に応じたテーマでの討議をしながら、機能的で充実した運営をめざします。

④地区労福協連絡会議を年2回以上開催します。開催については事前にテーマ設定し、地区労福協の取り組み事例や情報・意見交換、研修等を実施していきます。


(2)福祉強化キャンペーン

全国の労福協が集結して取り組むべき、社会運動課題や自主福祉活動の強化に向けて、中央労福協が提起する「2025全国福祉強化キャンペーン」に県労福協も取り組みます。最大限効果が発揮できる取り組みとなるよう、中央労福協の指示に沿った活動を行うとともに、県労福協独自で、セミナーや研修会も開催していきます。


(3)研修活動の充実

①はたらく人の「みらい・あんしん」学校の開催

これまでの実施経過を尊重し、実施内容の検証を踏まえ、構成組織実務者会議の中で課題点の改善を図りながら開催を検討していきます。

②ろうきん・こくみん共済coop新任運営委員合同研修会の開催

事業団体の利用促進につながる活動の一環として、労働者自主福祉運動が労働運動と生活協同組合運動を母体として生まれてきた歴史、社会的役割の理解を深めるとともに、運営委員会の活性化に向け、ろうきん・こくみん共済coop新任運営委員合同研修会を開催します。


(4)長野県勤労者体育大会

「長野県勤労者体育大会(県大会):在り方委員会」および2024年度勤労者体育大会第3回実行委員会の決定に基づき、2025年度はテニス(男女混合)、バドミントン(男女混合)、野球の3種目で県大会を開催します。

開催にあたっては、体育大会実行委員会を設置し、実施要綱・競技要綱を確認していくとともに、大会の企画・運営を行っていきます。

また、これからの体育大会の在り方について委員会を設置して、議論を進めていきます。


(5)県政要請

労働者福祉政策をはじめ、県民の安心・安全の生活を守るため、構成団体はじめ各団体から寄せられた要求を、県労福協として政策委員会を設置し、県に要請していきます。

〇生活困窮者に対する支援施策、〇雇用情勢改善に対する施策、〇地域・県民が求める施策・体制など具体的な要請を直接知事及び担当部署に提出・交渉を行います。


(6)広報活動

①機関紙「ながの労福協」の発行

県労福協の機関紙「ながの労福協」を年6回発行して行きます。福祉事業団体のお知らせ、生活あんしんネットワーク事業の「くらしなんでも相談」の事例などの掲載、労福協活動への理解促進、労働者の日常でのトラブル回避のための情報提供を行います。また、より多くの方に読んで頂く様、紙面の改善に努めていきます。

②ホームページの充実

労福協活動を広く、多くの方に知って貰うよう、Webコンテンツの改善を図り、ホームページの閲覧数増に努めます。

③県労福協「統一ダイアリー」の発行

「統一ダイアリー」については、2020年度リニューアルをしましたが、昨今の物価上昇に伴い費用対効果や使用状況から、改めて共同編集会議の中で検討していきます。


(7)IT化の推進

Webを活用した各種会議やセミナー・研修会の開催や対応による効果性と、テレワーク等による円滑的、効率的な業務を目指し、IT環境の活用と整備を進めます。


6 労働者福祉会館(仮称)の建設

官民協働による労働者福祉会館建設に向けて、長野県や関係する団体と具体的な建設について連携を進めていきます。