活動報告

2012年6月26日

群馬・長野両県労福協が栄村へ除雪ボランティア 


 群馬から栄村へ除雪ボランティア 
      両県労福協が連携、被災地救援にかけつけた70人
 昨年3月の地震で大きな被害を受けた豪雪地の長野県下水内郡栄村に2月25日、群馬県労働者福祉協議会の一行50人が訪れ、1泊2日の日程で除雪ボラン ティア活動に取りくみました。県労福協が被災地救援に取りくむ群馬側に仲介し、事前に地元のニーズをくみ取り、独自の現地体験などの準備を重ねてきまし た。
 一行は同日早朝、大型バスで前橋市を出発し、午前9時前に国道117号線に隣り合う青倉地区に到着。予定を30分ほど早めて作業を開始しました。地元の NPO「栄村ネットワーク」理事の松尾真さん(京都精華大学教員)や区の関係者が先導役となり「屋根やひさしからの落雪に気をつけて」「水路に足を踏み外 さないように」といった注意を受け、幹線道路から離れた住宅や地震で倒壊した公民館の仮設建物など3つの除雪拠点に向かいました。
この日は、村内の積雪が249センチ(村役場調べ)と平年を大幅に上回り、平均気温が0.6度と氷点下すれすれ。朝からみぞれ交じりの雪が降り続ける中での作業となりました。
奥まった場所の住宅では、まず埋まった道を開ける作業から着手。次に2階部分まで積もった雪を掘り下げ、1階の玄関口までの通路を確保しました。始めは足 もとが定まらず、重い雪質に苦労した様子でしたが、慣れるにしたがい、スコップを振るいソリで運び出すリレー式の人海戦術で、昼食を挟み5時間余りの作業 が順調に進みました。
群馬労福協の阿部和彦事務局長は「個人的になにかできることを、という気持ちはみんな持っていますが、実際には難しい面も。こうした組織的な取りくみが地元の方に喜ばれ、やって来たかいがあります」と語っていました。
2日目の26日は高齢者世帯の住宅周辺で除雪作業を行い、地元の案内で震災現場を見て回りました。
県労福協は3月6日に松本市で主催する「自然災害セミナー」で、この日の除雪ボランティアの活動ぶりをビデオで紹介する予定です。

 

◆「被災・豪雪の重圧に気遣い…」群馬の一行
除雪ボランティアの顔ぶれは、構成する労働組合、労働金庫、全労災などから派遣され、20~30代を中心に最高齢は65歳。当初の志願は約70人にのぼりました。同村でのボランティア活動で、50人もの大量投入は異例ということです。
今冬、積雪がほとんどない群馬県から豪雪地入りした一行は、視界をさえぎる道路両側の高い雪の壁に、一様に圧倒的された様子。地元で雪を溶かす「たね」と呼ばれる流水池や、玄関や駐車場の前に作った雪囲いなど、独特の雪の備えに興味深げでした。
震災の傷跡は雪に埋もれており「あそこには全壊した住宅があった」という案内の人の説明に、実感がわかないながらも、あらためて震災と大雪の二重の重圧の下で暮らす厳しさを気遣っていました。
幹線道路は除雪されているものの、離れた各戸への道は細々とつながっている状態で、2階部分まで雪に埋もれたまま。玄関口まで掘り下げていく作業では「地元で雪かきを“雪掘り”という事情が納得できました」と苦笑いする場面も。
同労福協はこの1年間、東北3県の被災地へ救援ボランティア、買い物ツアーなどに取りくみ、今回の栄村での救援活動もその一環。阿部事務局長は「息長く、 押し付けがましくならない距離で、地元のお役に立ちたい。引き続きなにがやれるか、長野県労福協と相談して行きたい」と、意欲を示しました。

 

◆「お返しの一歩」宮城の被災女性3人が参加
宮城県で大地震・津波で被災し、長野県内に転住した女性3人が栄村を訪れ、除雪作業の手伝いや湯茶サービスを務めました。
3人は肉親が犠牲になることだけは免れたものの、津波で自宅が全半壊。いずれも50代で、知り合いや仕事で縁のあった長野県に移って来ました。この1年間、住宅、収入面を含めて厳しい日々を強いられたといいます。
同じ震災地の栄村訪問は、県労福協の誘いに応じたものです。故郷も寒冷地とはいえ、雪に埋もれた村の様子に驚きを隠せない様子でした。
「それでも、栄村の人たちは家が壊れても、記念になる物が残ってうらやましい」「被災者と知られたくなくて、車の宮城ナンバーを替えた」「戻れる日があるのか分からない実情ですが、今日は自分なりの“お返しの一歩”です」と、口々に胸の内を話していました。

 

◆「村の自立へ外のパワーも」と地元NPO
地元で活動するNPOや元区長らが除雪作業への助言や被災地の案内などの裏方さんを務めました。NPO「栄村ネットワーク」の松尾真さんは大学では環境政 策論が専門。平成合併での村の自立論議に関心を持ち、5年前から定住しています。活動を通じて地元に溶け込み、地震被災の際は現地リポートをインターネッ トで発信し反響を呼びました。
今回は除雪する住宅や震災現場への案内役をかって出ました。作業の合間に、農山間地の自然と暮らしの結びつきを説明し「地域の特性と歴史に見合った自立 を」とする持論を“講義”する場面も。作業を終えた一行に「さすがに人間のパワーを実感しました」と感謝し、地域が外部とつながりながら自立に向かう大切 さを強調しました。
作業を見守った区の関係者は「おかげさまですっかり見ちがえるほどです。行政や地元だけでは限界がありますから…」と喜んでいました。また、戸口で一行に「ご苦労様です」と頭を下げる主婦の姿もみられました。

 

◆県労福協が事前に体験ボランティア
長野県労働者福祉協議会は2月18日、群馬県の一行を迎え入れる準備を兼ね、栄村支援の除雪ボランティア活動を体験しました。
北信地区の労働組合や生協からの12人と現地のNPOメンバーが参加。青倉、小滝両地区の4カ所に分かれ、民家や物置の周りの除雪や、除雪車が作業できる場所を確保し、3時間ほどで予定を終えました。
休憩や昼食時間には、地元の人から地震の復興や豪雪の苦労を聞き、交流を深めました。

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