活動方針と計画
2026年度活動方針
はじめに
日本社会は、感染症のパンデミックを経て形成された「新しい社会」のもとで、人と人との関係性やコミュニケーションのあり方、さらには働き方や労働環境においても大きな構造変化が定着しつつあります。テレワークの普及や労働時間の短縮など働き方の多様化が進む一方で、雇用の不安定化や生活不安の広がりなど、労働者を取り巻く環境は引き続き厳しさを増しています。
また、世界情勢に目を向けると、ロシアによるウクライナ侵攻や米中経済対立の長期化に加え、中東地域における軍事衝突など、国際社会は依然として不安定な状況にあります。加えて、米国の通商政策の影響による物価上昇や世界的なインフレ圧力は、各国の財政運営にも影響を及ぼし、私たちのくらしや地域経済にも大きな影響を与えています。
こうした先行き不透明で不確実性の高い社会においては、いつ発生するかわからない新たな感染症の流行や、経済不況、失業といった事態に備え、社会のセーフティネットを重層的に張り巡らせていくことが、これまで以上に重要となっています。苦しむ人が再び社会にあふれるような過ちを繰り返さないためにも、公助の役割を再確認するとともに、地域や職場、組織の力を生かした共助の重要性が改めて問われています。
2026年度活動の方向性
将来への不安が尽きない時代だからこそ、人と人とのつながりを大切にし、「助け合い」・「共助」の輪を社会に根付かせる労働者自主福祉運動の果たすべき役割は、より一層大きくなっています。労働組合とともに歴史を重ねてきた労働金庫やこくみん共済coop をはじめとする労働者福祉事業団体と労働組合が、引き続き「ともに運動する主体」として連携を深め、県内で働くすべての人が幸せと豊かさを実感できる社会の実現に向け、労働者自主福祉運動を着実に前進させていきます。
県労福協としては、「福祉はひとつ」という理念のもと、人と人とのつながりが大切にされ、平和で安心して働き暮らせる社会の実現をめざし、労働者自主福祉運動の総合的な推進を通じて、「労働者・市民の拠り所」としての機能を発揮し、2026年度は地区労福協と協同し、行政や関係団体との連携を一層強化しながら、地域共生社会づくりに向け「くらしのあんしんネットワーク」を構築していきます。
一方で、限られた運動資源の中で活動領域が広がることにより、資源の分散や担い手不足といった課題が顕在化しています。運動の最前線を支える人材の確保・育成が困難となる中、日常的な組織間連携や地域との関係づくりが十分に機能せず、結果として同じ地域で働く仲間が労働者自主福祉運動に参画する機会を十分に確保できていない状況も見受けられます。
こうした課題に真正面から向き合い、労福協運動を支える基盤強化に重点的に取り組む年度と位置づけます。
県・構成組織・地区労福協間の情報共有と意思疎通を一層強化するとともに、個々では対応が困難な課題については、「つなぐ・つなげる」協働のあり方を再確認し、実行につなげるための仕組みの再構築を進めていきます。
“私たちは何のために集まり、何をすべきか”という原点に立ち返り、共通した運動の土台を再確認しながら、限られた人的・財政的資源を有効かつ最適に配分することで、労福協運動をすべての労働者へと着実に拡げていきます。
活動の目的
1.労働者福祉を増進する事業を行い労働者の生活安定と経済的・社会的地位の向上に寄与する。
2.生活あんしんネットワーク事業の深化で、働くことや暮らしの安心を支え続ける。
3.労働組合と協同組合が連携・協同し、共助の輪を広げ、すべての働く者の拠り所となる。
4.地域の様々なネットワークで、支え合い、助け合う地域共生社会を実現する。
活動の柱
近年、雇用や生活を取り巻く環境は一層多様化・複雑化しており、地域における支え合いの仕組みと、労働者福祉を担う組織の持続可能性の確保がこれまで以上に重要となっている。こうした状況を踏まえ、2030年ビジョンの実現に向けては、地域の実態に根ざした実践を積み重ねるとともに、連携の強化と組織基盤の整備を段階的に進めていく必要がある。
2026年度は、その実現に向けた基盤を着実に構築する年度として、➀政策提言と実現、➁地域・社会的連携、③労福協財産の活用 の三つを活動の力点として位置づける。
労働者とその家族の生活実態や地域課題を的確に把握し、行政施策への反映を図るとともに、地域の多様な団体との連携を通じて課題解決力を高める。
あわせて、労福協が有する財産や事業成果を地区労福協へ波及させ、地域に根ざした実効性ある福祉向上と持続可能な組織運営の実現をめざす。

1 政策提言と実現
労働者とその家族の生活実態や地域課題を的確に行政施策へ反映させるため、年間を通した活動として位置付ける。
■県労福協として、地区から寄せられる要望・課題等を整理・分析し、県要請に反映させる
■地区労福協として、地域活動の中で得られた現場の声等を地域での要請に反映させる
■県労福協の構成団体と連携し、実効性のある提言内容の検討を行う
■県・市町村との関係(意見交換の場)を構築し、自治体での各種計画策定過程への参画を試みるなかで、労働者福祉の視点を反映させる
■要請書提出後も行政との継続的な意見交換を行い、施策化・改善状況の把握とフォローアップに努める
2 地域・社会的連携
地域課題の解決に向け、労働者福祉の枠を超えた多様な団体との社会的連携を強化し、地域共生社会の実現に寄与する。
■地域の福祉団体、NPO、社会福祉協議会、自治体等との連携による課題解決型の取組推進
■構成団体との連携を基軸とした地域ネットワークの深化
■地区労福協をハブとした地域連携の仕組みづくり
■労福協として地域・社会貢献活動に携わり、構成団体と共に取り組む
3 労福協財産の活用
労福協が有する財産や事業成果を地区労福協へ波及させ、地域における実効性ある福祉向上につなげる。
注)労福協の財産=運動的資源は限られています。……運動的資源は「人的・財政的」資源です。
■労福協財産の活用施策を明確化し、地区の事業への効果的な連携・還元策を検討・実施
■労福協の財産でもある、「労金・こくみん共済coop」の活用・利用により可処分所得拡大につなげ、労働者自主福祉運動を波及・推進し働く者の幸せを目指す
■地区労福協による自主的・創意工夫ある福祉事業の支援
■地域の実情に応じ、持続できる福祉活動が展開される仕組みづくり
基盤整備・組織機能強化の取り組み
三つの活動の力点を実効あるものとするためには、組織の基盤整備と機能強化が不可欠である。県労福協および地区労福協が持続的かつ安定的に活動を展開できるよう、以下の取り組みを通じて基盤整備と組織力の向上を図る。
1 生活支援・福祉向上の取り組み
労働者とその家族を取り巻く生活環境が多様化・複雑化する中、日常的な生活支援機能の充実は労福協運動の基盤である。地域の関係機関と連携しながら、実効性ある支援と情報提供を強化し連携する。
■生活相談、困窮者支援に関する関係機関との連携強化
■構成組織や労金・こくみん共済coop 等と連携した金融リテラシー、奨学金対応、生活防衛に関する学習・啓発(使えるお金を増やそうプロジェクト)の促進と活用・利用促進
■高齢者、子育て世代、若年層を意識した福祉施策の情報発信
2 地域・地区労福協との連携強化
地区労福協は、地域における実践活動の中核である。県と地区が相互に情報共有をし、連携を深めることでより一層地域特性を活かした取り組みに繋げる。
■各地区労福協との定期的な情報連携と意見交換の実施
■地区活動の好事例の共有と横展開
■地区役員・事務局を対象とした研修・学習の場の設定
3 広報・情報発信の充実
労福協の活動を広く社会に伝え、理解と共感を広げることは、組織基盤の強化につながる重要な要素である。多様な媒体を活用し、活動の可視化と情報発信の充実を図る。
■ホームページ、広報紙等を活用した活動の見える化
■SNS等の活用による若年層への情報発信の検討
■各種事業・イベントの効果的な周知
4 組織基盤の強化
安定した事業運営を継続するためには、組織体制および事務運営の効率化と透明性の確保が不可欠である。役割分担の明確化と業務改善を進め、持続可能な運営体制の構築を図る。
■役員・事務局の役割分担の明確化
■業務の効率化・事務負担軽減に向けた改善
■会計・事業評価の透明性向上
5 地区労福協の位置づけと持続可能な運営の検討
地域に根ざした活動を地区労福協が将来にわたり安定して展開されるためには、県労福協との役割整理と運営基盤の強化が重要である。現状の実態を把握し、複数の選択肢を整理しながら、地区との対話を重視し丁寧に段階を踏みながら、財政支援を含め検討を進める。
■人的体制の実態把握
■複数の運営形態(集約化型・協同運営型・現状維持型等)の整理
■地区との対話を重視し、財政を含め段階的検討
6 相談事業の再構築と機能強化
労働者とその家族の生活課題が複雑化する中、相談機能の充実と実効性の確保は重要な役割である。現行の実施状況を検証し、関係機関との連携を強化しながら、持続可能で機能的な相談体制への再整理を図る。
■現行相談事業の実施状況・相談内容の分析を行い、課題を整理する
■県労福協と地区労福協の役割分担を明確化する
■弁護士・社会福祉協議会・行政窓口等との連携強化を図る
■「紹介機能」「つなぐ機能」を重視した相談体制への転換を検討する
■必要に応じて運営形態の見直しを行う
7 公益事業の見直し
現状の県労福協事業の全般を鑑み、限りある労福協財産の有効的活用を目指し、検討する。
今年度は、2030年ビジョンの実現に向けた基盤形成の重要な1年である。行政への政策提言、地域・社会的連携、労福協財産の地域への波及の三つの活動を軸に、地域に根ざした実践を着実に積み重ねる。あわせて、組織および財政基盤の強化を段階的に進め、将来にわたり持続可能な労働者福祉運動の確立をめざす。
そのために、役員・関係団体・地区労福協が一体となり、着実な活動の推進を図ることとする。
