くらしなんでも相談Q&A

職場のメンタルヘルス

相談内容

 職場の上司が、年次有給休暇の取得申請をしても認めてくれません。仕事もろくにできない奴に有休は必要ないと言われました。その他にも、おまえは動作がのろいとか、気が利かない奴だなど普段から言われていて、この頃会社にいくのが嫌になっています。

解答

 年次有給休暇については、勤務年数と出勤率により取得要件が労基法三十九条で明確に規定されています。年休取得は労働者の当然の権利であり、会社や上司の判断によって認めるというものではありません。
 直ちに上司の上席者(取締役等)に抗議し、それでも会社が動かない場合は労基署から指導してもらうと良いでしょう。それよりも気になるのは上司のパワハ ラ発言です。この発言が原因であなたの心に傷がつき、仕事への意欲が失われたのであれば、会社にはきちんと対応する義務があるのです。その上司からの聴取 も含め、会社とあなたが話し合える場を持てるよう強く申し入れてください。パワハラ問題は、ひとりでただ悩んでいても解決しません。
 
 これまで、職場内での人間関係に関する問題としてはセクハラ対策が先行し、公的機関からの指導に従って企業でも対策が講じられてきました。セクハラは社会的にも認知され、企業側でもその重要性を認識し労働者のメンタルな点に関わることとして定着してきています。
 しかし、近年、労働者は職場において、性的な問題だけでない様々な人間関係に悩み、強い不安やストレスを感じている割合が高まってきています。以前から この事例のような問題はあったものの、それが職場の慣例であるとして従うしかないことが暗黙の了解とされ、労働者側からパワハラに対する行動を起こすこと をためらわせ、積極的に解決を図ることは困難な状況でした。その陰で、やむなく退職していった労働者もいました。また、在職していたとしても心に病をかか えてうつ病になる労働者がいたり、誰にも相談できず最終的に自殺に追い込まれる悲劇も引き起こすなど問題が深刻化してきたのです。
 パワハラは人が人に対して行うものです。会社が人を雇用していく上で安全衛生管理は当然の義務であり、安心して働ける環境を確保することが求められます。使用者責任(民法七十五条)を果たすためにも、会社がパワハラを放置することは決して許されることではないのです。
 パワハラ対策としては、まず人や会社がパワハラを強く認識しなければなりません。(適正な指導とパワハラは認識が紙一重の差で、加害者と被害者の思いに 違いがあり非常に悩むところですが)。その上で防止対策を講じ、実際にパワハラが起きたときの窓口設置も含め、速やかに解決を図ることができる体制を整え ておく必要があります。
 具体的には、職場内でのパワハラをなくすことを会社

※ワンポイント

パワーハラスメントの定義
 職場の労働者に対して、職務上の地位や人間関係など職場内の優位性を背景としながら、業務上の適正な範囲を超え
た精神的および身体的な苦痛を与えることにより、職場環境を悪化させる行為をパワーハラスメントといいます(法律的な定義ではありません)。ところが、最 近では部下から上司に対する過激な暴言や態度などが、パワハラと認められる事例もあり、この定義だけでは収まらない状況も起きています。
 本年、厚生労働省は「職場のいじめ・嫌がらせ問題に対する円卓会議ワーキンググループ報告書」と「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」を発表しました。
 同報告暑によると、パワーハラスメントとなる行為は、大きく分けて6つの類型に分類することができるとしています。
①暴行・傷害など身体的な攻撃
②脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言など精神的な攻撃
③隔離・仲間外し・無視など人間関係からの切り離し
④業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制や、仕事を妨害するなどの過大な要求
⑤業務上の合理性がなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与え ないなどの過小な要求
⑥私的なことに過度に立ち入る個人への侵害行為
なお、①については、たとえ業務の遂行に関係するものであっても「業務の適正な範囲」に含まれるとされません。②と③は、業務の遂行に必要な行為であると は通常想定できないことから、原則「業務の適正な範囲」を超えるものであるとされます。ただし、④から⑥は、適正であるかの線引きが困難であることから、 パワハラ行為として認められるには、業種・職種・状況・継続性などを基に客観的に判断されることとなります。企業においては、トップから現場サイドまで含 めてこれらの類型を認識し、範囲を明確にする取り組みをしていくことが求められます。

【パワハラに関する判例】
 ○中部電力事件
「主任失格だ」「おまえなんかいてもいなくても同じだ」などの文言を用いて感情的に叱責し、かつ、結婚指輪が仕事の集中力低下の原因だとして結婚指輪を外すよう命じていたことをパワハラと認めた。
(名古屋高判平十九・十・三十一)
○日研化学事件
「存在が目障りだ、いるだけでみんなが迷惑している。おまえのカミさんの気が知れん、お願いだから消えてくれ」「お前は会社を喰いものにしている。この給料泥棒」等の発言

※回答者

特定社会保険労務士 山口 正人

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