くらしなんでも相談Q&A

契約に基づく債権の消滅時効

相談内容

6年前に「1ヶ月後に返す」とい約束で知人に10万円を貸したまま返してもらっていません。

民法が改正されて、時効に関するルールも変わったと聞いたのですが、

私が貸していたお金は返してもらえなくなってしまうのでしょうか?

解答

2017年に民法の債権関係分野の改正法が成立し、多くの部分が2020年4月1日から施行されました。

消滅時効に関するルールの改正は、重要な変更点の1つです。

 消滅時効とは権利(例:貸したお金を返してもらう権利)を行使しないまま一定期間が過ぎた場合に、

その権利を消滅させるという制度です。改正前の民法では、この「一定期間」について原則として

10年と定めていましたがお医者さんの診察の報酬は3年、飲食店の代金は1年など権利の発生原因によって

期間が細かく分かれており、分かりにくいという指摘がされていました。

 改正後の民法では契約の種類による区別をなくし権利を行使できることを知った時から5年、

権利を行使できるときから10年(人の生命・身体に侵害を受けた場合の損害賠償請求権は20年)の

どちらか早い方が経過すると権利が消滅するというルールを採用しました。(民法166条、167条)

ご質問のケースのように、返済日を具体的に決めてお金を貸した場合には

本来の返済日が来れば「権利を行使できることを知った」と扱われます。

 このルール変更によって不都合が生じないよう2020年4月1日より前に権利が発生していた場合には

改正前の民法に従って権利が消滅するまでの期間を判断する、ということになっています。(改正附則10条)

 ご質問のケースでは、お金を貸したのが6年前ですので、権利が消滅するまでの期間は「10年」となり、

現時点ではお金を返してもらう権利は存続していることになります。

※回答者

弁護士 田中良平 (2020.7)

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