不動産のトラブル①
相談内容私の自宅土地は,その西側に幅5メートルはある公道に接していますが,東隣のお宅からは,
90センチメートル程の狭い通路がその公道へ繋がっているだけです。この隣家のご主人が
高齢で足が不自由となり,自動車で病院への送り迎えをしたいので,私の自宅敷地を自動車で
通らせてほしいと言われました。これを認めると,自宅の庭を自動車が横切ることになり,
事故が起きないかと心配です。断ることはできますか。但し,過去には,農業のために軽自動
車に限って通行を認めていたことはありました。
解答
事例の場合,東隣のお宅は,狭いながらも公道に繋がっており,当然に囲繞地通行権が発生する
とはいえません。しかし,このままでは建築基準法の接道義務2メートルの要件を満さないので,
建物を新しく作ることもできませし,自動車の普及が進んだ現代社会では不便極まります。
過去の利用状況を踏まえ,自動車乗り入れの必要性,生活環境への影響の程度,通行回数や通行
方法・期間の限定等具体的に検討して,隣接する両土地の有効利用ができるよう話し合いを進め
ましょう。場合によっては,簡易裁判所の民事調停を利用して,話し合いを進めることもお薦め
します。
東隣のお宅は事実上の袋地です。これを第三者が買い取ることはあり得ません。可能であるならば,
相談者がこれを適切な値段で買い取ることも,究極的な問題解決策かもしれません。
※回答者
弁護士 柳澤修嗣(2018.5)